Category Archives: Harvard Business Review Review

HBRR: 2010/07 顧客資本主義の時代

会社自体が、顧客資本主義を全うするならば、そのCEOも顧客資本主義を全うすることができる。なぜならば、会社自身がその方針を打ち出しているのだから、CEO個人のみがその主義を全うすることに、外部から不満を受け取ることはない。それは、株主からに対しても、である。

株主主義と顧客資本主義は、会社に対して短期的効果と長期的効果のいずれを重視するかと同等の方針になる。

会社が顧客資本主義ではなく、株主主義である場合どんなことが生じるだろうか?

一つにCEOの活動方針に影響する。仮にもし、その時期の株主に最大効果を与えることが、彼らの報酬に寄与するならば、彼らは現時点での利益増幅に余念がないだろう。自分の任期以降の会社の状況には省みず。

もし、自分の勤める会社自体が、株主に対して言い訳するのに余念が無いと知ったならば、私はがっかりだ。会社のリソースを、彼らに対する言い訳を作るのに使うのは、合理的ではない。それ自体は会社についても株主についても、双方の利益に全く寄与するわけではない。それ以上に、会社のひいてはCEOの志の低さに辟易する。自分のしてきた仕事に、自信はないのか、と。言い訳を考えるのは、その自信のなさの表れだと考えるからだ。

そんなわけで、株主主義はあんまりいい効果を出すとは思えない。何より、流通のラインから考えれば、当然のことだろう。会社→顧客→会社→株主、という経路を通って株主の利益は注がれるのに、最後の三番目の矢印に注力を注いだって意味がない。一番目の矢印が順当に実現してこそ、三番目の矢印が発露するものだ。

会社にはいいときも悪いときもある。CEO及び会社自体は、その状況に応じて自分自身ができる限りのことをするしかない。その行動には、残念ながら株主の報酬と直接関与することはできない。

HBRR:2010/02 24/Y理論は万能ではない

感想

マグレガーの呪いから解放された、ということでFA?

長い間有用だった理論を否定することは難しい、というような感じを受けた。この記事の最初の理論は「Y理論は万能だ」というところから始まる。Y理論は万能だから、どんな組織の状況でもきっと適用できるに違いないと思ってきたのだろう。そのように組織を合わせていけば、自ずと素晴らしい組織になるはずだろうと、コンサルタント達やマネージャ達は考えて、適用するように組織を形成していったんだと思う。

が、それでうまくいく所とうまくいかないところが出てくるようになり、寄る辺だったY理論の万能伝説はもろくも崩れ去った。

しかし、通常考えてもみよう。科学の研究所と、工場とで、どちらもY理論が適用できると、マグレガーは主張しているのだ。Y理論は自律性を重要視してるんだが、傍目八目的に見ていれば、向上でそういった自律性は、むしろ弊害なんじゃないかと思うものだろう。だのに、Y理論はきっとそんな場所でも役に立つ! と何故信じることができたのだろうか?

ここに理論適用の硬直化が垣間見えるだろう。理論もまた、科学の実験と同じように、ある条件下においてのみ効果がある。それが正しく提示できない場合、解釈が肥大化してしまいつつも、全体の肯定度合が強いために、表だって「違います」て言えなくなるんだろうなとかそんなことを思ってしまった。

センス・オブ・コンピタンスとかそういったものが紹介されていた。これは、業務にまつわる能力やスキルを高めるセンスのことを言い、自分が十字している仕事や環境に慣れ親しみ、技能が向上することでもたらされる満足感の積み重ねでできあがるものだ。で、ものすごくわかりにくい言葉なんだけど、会社の仕事で役に立った感のことだと私は理解した。

 

で、この論文の結論は、「各組織によって最適なやり方は違うから毎回考えろ」といったものになるんだと思う。万能なやり方はないことがわかった、という証明というか。で、その次は似た感じの課題の部分があれば、それに近しい形でできるかも! と思ってユースケースの紹介が活発になりつつも、あまりに全部が全部異なるので、ひとつの最適解があるに違いない! と、Y理論がまたもや再登場とか、そんな風にウロボロス的展開をしてもおかしくなさそうなお話だった。上記のようなウロボロス的展開を回避するには、当然のことながら、ユースケースを特化して、その中で数をこなして理論化するのがベターのように思う。

それを実現しているのが、業種特化型のコンサルタントとかなんじゃろかいな。

 

それにしても、このタイトルは、本来の記事の趣旨が現れ出ていない。この記事の素晴らしいところは、X理論だけでは無理なことがわかり、Y理論が台頭し、しかしながらY理論ですらうまくいかなくなり、そしてX理論とY理論を状況によって使いわけるべきだという結論に達した、といった内容をまとめたものである。X理論→Y理論→コンティンジェンシー理論という、ホップ・ステップ・ジャンプといった進化の段階がある。それを踏まえて、英語では「Beyond Theory Y」というタイトルになっているのだろう。とはいっても日本語に直訳すると「Y理論を越えて」になってしまう。それだけだと、意味がさっぱりわからんので、今のタイトルに落ち着いたんかなーと思った。

HBRR:2010/02 18/アタマ打ちマネジャーの活性術

はじめに

HBRRとはHarvard Business ReviewのReviewという意味である。そろそろ考え方が打ち止めになってきた感があったのでちょっと新しいものに手をとった。それが、Harvard Business Review。特に考えて選んだわけでもないけど、以前に買った「超MBAの思考法」の文章がよかったので、少なくとも1年間買うことに決めた。

学習の手段として、文章を読んでそれをまとめるという方式をとる。ちなみに2010年では項目としては36個ある。Reviewの仕方は読んで、本に書き込むことを我慢し、それを文章にまとめるという方式をする。書き込まないというのは、まとめるのにステップをとらせない理由からである。小さなおにぎりを5個くっつけても大きなおにぎりとは言えないのと同様に、思考の断絶を今回は許可しない。

そういうかんじでHBRRは進める。よろしこ。

まとめ

マネージャの種類は大別すると2種類ある。ひとつは仕事に積極的に向おうとするタイプと、もう一つは消極的に仕事にはげむタイプ。このタイプに別れてしまうのは、マネージャになる前の、入社当時からの就業した仕事が異なることから起因する。前者は主流の仕事で会社の貢献に直結するような仕事を与えられ、後者は間接的な、そして自分自身が満足していないと思う仕事を与えられる。このような違いから、会社に対する姿勢が徐々にベクトルを別ち、マネージャになるころには、真極端な別な方向へと向いてしまう。

しかしながら、その後者のマネージャでも、そのような姿勢でありながら会社で仕事を全うする責任はあり、立派な経験を有している。しかしながら、そういった人物については昇進についても硬化することも多く、彼らの意欲はますます失われるばかりだ。

それにはどうしたらいいか? 一つは、(1)これからの前途に向けて、率直的に話し合うべきである。そしてもう一つは、(2)彼らにチャレンジングで意欲を掻き立てるような仕事を与えることである。

(1)の前途に向けて率直的に話し合うことはなかなかに難しい。これは、彼らに対してだけでなく、会社というもの自体が、ありとあらゆる状況において誠実に行っていくべきだ。幹部候補生について昇進のスケジュールを話すことも、部下の仕事の達成度と将来性について明解かつ誠実なフィードバックをすることも、昇進が頭打ちになりつつある部下達に向かい合うときも、それぞれにおいて率直的に誠実に話していくべきだろう。

(2)は、たとえば40代・50代の社員の心理状態について考えてみよう。彼らの昇進はなかなか望めないことを、本人自身は承知しているが、それでも自身の成長や貢献はしていきたいと思う。これは、今まで培ってきた技術と専門知識は活用したいと望んでいる。そういった面から考えると、頭打ちのマネージャについては、たとえば以下のような施策を試みるのが有効かもしれない。

  1. 有意義な仕事を与え続ける
  2. 意志決定とその遂行に関与させる
  3. 教師となる、コーチとなることを奨励する

有意義な仕事を与え続けるには、たとえば技術職をコンサルタントとして迎えたり、別の地方の営業部長として異動させるなど、同一分野において仕事を交代させてみるというのがある。

意志決定とその遂行に関与させることには、責任を全うするという上で可能な限りに裁量権を与えることだ。自由度をあげることで、自分がとることのできる選択肢を増やすことができる。同じ立場であっても、できることが増える。

教師となる、コーチとなることを奨励するのは、自分自身の持ちうる技術や専門知識を誰かに教えることで引き継ぐことができる。

感想

(1)は、頭打ちマネージャができないようにするための施策であり、(2)は頭打ちマネージャができた時の対策となっている。

(1)の内容自体は、別にマネージャ云々の話ではなく、会社全体として社員が社員に取り組んでいくべき姿勢について説明している。簡単にいえば、正確な情報を、的確なタイミングでフィードバックし続けよう、という話である。ここで書かれていた社員の不満は、いずれにしても幹部候補生に語られるバラ色の夢が潰えた時や、上から久しく無視されているマネージャでも昇進の夢を抱き続けていてそれがようやく無理だとわかった時である。充ち満ちた希望が裏切られた時、反感を大いに抱く。

(2)については、人員配置を硬化してはならない、というのが共通のポイントであろう。同じ仕事に固執してしまうと、それだけで視野が狭くなるし、何よりその仕事範囲が自分自身のアイデンティティに融合してしまいかねない。

Harvard Business Review Review:「超」MBAの思考法

ハーバードビジネスレビューの本は、とても興味があったけど、雑誌として買うには高くて尻ごみしてた。別冊が980円で売ってたのと、思考法の紹介とで、とっつきがよかったので買ってきた。

が、買ったはいいけど、紹介項目が多すぎて理解においつかない。思考力が10個、創造的思考法が7個、超ロジカル・シンキング講座が5個で、この時点で22個もある。そんでもって茂木健一郎のインタビューにもいくつか思考法が紹介されていたはずなので、実質は22個以上。……。というわけで、覚えきるのが面倒なので、真偽はともかく個人的におおざっぱにまとめることにした。

続くかどうかわかんないけど、今回は思考力の科学10のレッスンをまとめることにする。まとめ方の方法として、ひとつの話の流れに10の思考法をある側面に関してあてはめる。

(1)問題の対処方針を決めるには?

・クネビン・フレームワーク

仮に問題が起きそうな状況があるとしよう。それに対して最適な方針は何かを見極めるのが、クネビン・フレームワークである。

クネビン・フレームワークは、問題の状況を見極めることで、対処の取り方を決める、意思決定手法である。状況は大きくわけて5種類ある。直面する状況を、その因果関係の明確さの度合に基づいて5種類に分類する。明確な方から、単純(SIMPLE)・込み入った(COMPLICATED)・複雑(COMPLEX)・カオス(CHAOTIC)、そして無秩序である。これらの状況に合わせて、分類・分析・探索・行動という対処方法を取る。

クネビン・フレームワークは、さまざまな状況には、一律的な対応が難しいということを示し、それに対して状況を分析するという前段階も、必要な場合があることを示唆する。

(2)皆の理解を得るためには?

・ウィキッド・プロブレム・ソルビング

その対処方法が決まったところで、関係者について同じ考えを持たなければ進めることはなかなかに難しい。そこで役立つのが、ウィキッド・プロブレム・ソルビングである。

この思考法は、記事を見る限り、全員がひとつの統一されたビジョンを共有し、そのビジョンに向けて進むことができるように、コミュニケーション等の対策を設ける、という正攻法な内容に感じる。個人的には、カルロス・ゴーンのやり方が抽象的にまとまった感じに見える。

(3)対応基本はトライアンドエラー

・意図した失敗:システム3の思考技術
・テスト・アンド・ラーニング
・デザイン・シンキング

方針が全員と共有できたとして、実際に行動する際には、基本的にはトライアンドエラーを実践する。上記3つの思考力の科学の項目は、基本的には試して分析という方法をとる。

これら3つの思考法は、適用範囲・見方・ステークホルダー等の要素が異なる。意図した失敗は、実践とそれに対するリターンの資金的トレードオフを考慮せよと説明している。テスト・アンド・ラーニングは、そもそも実践の部分をトライアンドエラーのサイクルの一つとして組み込むべきだと説明している。デザイン・シンキングは、トライアンドエラーの分析対象をやはりこれまた、実践を加味することだと説明している。

(4)自立的進歩に向けて

・学習志向力
・競争心の亢進

トライアンドエラーを行い、問題が解決されたとしよう。その後、会社はどのように進むことを望むべきか? それは、組織全体が(3)のようなトライアンドエラーが自発的に行われることが望ましいと考えられるだろう。これに対する一つの解が、学習志向力と呼ばれるものだ。

学習志向力のポイントは大きくわけて二つある。

・作業定義の権限を委任すること
・作業内容の実績を組織で共有すること

簡単に言えば、社員の自主性に任せてうまくいくやり方を考えてもらい、それを会社全体で実績なり情報なりを共有することで、効果的にめぐらせることである。リッツ・カールトン・ホテルのクレド運用は、この学習志向力を社員に展開した成功例の一つだろう。と勝手に私は思う。

作業内容の実績を組織で共有することは非常に大切である。これは競争心の亢進を、社内で生み出さないためである。競争心の亢進は、たとえば社内でやる気を引き出そうと、賞を与えたりする制度の際によく起こりうる。賞を取るために、社内での情報共有をあえて阻害しようとする姿勢が生み出されるからだ。競争心の亢進は、本書では交渉や討論、競争入札等の外部に向けて説明されているが、内部の中でも起こりうることであり、会社にとって不利益な状況を起こりうることだろう。

(5)広がる国際社会に向けて

・CQ:多様性に適応する力

会社の国際化は徐々に広がりを見せつつある。会社の中で外国人を見掛ける頻度は徐々に大きくなりつつある。そこには、多様性に適応する力が必要となるだろう。ここでは、認知・行動・感情の3つの側面から自分にどれくらいのCQ(Cultual Quality)があるのか把握し、伸ばすための方法を考える。

(6)これら全てを支える考え方とは?

・エビデンス思考

今まで話してきた思考法群は、ある一つの前提とした考え方がある。それは、エビデンス思考だ。エビデンス思考は、起こりえた事実を受け入れ、その事実に基づいて、検討やXXを考えるべきだという考えである。誰かから聞いた内容、ウェブ経由で知った情報、たぶん自分はこうしたであろうという記憶の情報は、曖昧である。それに対して、本当に正しいことかの裏付けをとって、正しいことを証明してから、それらの情報に基づいて検討を行うべきである。なぜなら前提条件が異なるからである。

似た状況だからといって、今までの経験則ばかりに頼りすぎることは危険だと、エビデンス思考は示唆する。厳密的に同じ状況は一つとして存在しない。

(7)飛躍した考えをあみ出すには?

・メタファー思考

エビデンス思考は、「事実を確認し、事実をそのまま受け入れる」ことこそが肝であると私は考えている。聞いたつもり、知ってるつもり、やったつもりが積もり積もって、最終的にウィキッド・プロブレム・ソルビングが必要な状況が出来上がってしまうのだ。そういった状況に陥らないためにも、正しい情報を収集していくことが必要なんだ、とエビデンス思考は言っている。現状は仕様よりも優先される。

エビデンス思考の上に成り立つ解決策自体は、過去の経験エビデンスや経験則の類似や組み合わせから結構生成できる。ここに、それに精通した人の飛躍的アイデアが組み合わさり、すばらしい解
決策が出てくるかもしれない。

しかし、そのような飛躍的アイデアを精通した人でなくても生み出さなくてはならない状況になったらどうするのか? そこに登場するのがメタファー思考である。メタファー思考は、まったく異なる状況を相似的に繋げる思考である。ある問題となっている状況を、もうひとつの状況に存在する骨組みを用いて試行錯誤する。

まとめ

今回は概要程度のレベルでまとめてみた。自分の要素と、上記のラベルを紐付け程度のまとめなので、いやそれってどうよという部分もあるかもしれない。大幅に異なってたらご指摘願う。

今、会社に働きかけたいことは、学習志向力の部分だと思う。GTDはその学習志向力を補助するフレームワークを持っていると思うのだけれども、会社にはうまく適用するような基盤システムが私の中では見つかっていない。GTDの概念自体は、こっそりある課題管理システム内に組み合わせることで、名称を知らなくても素地を作るように仕込んできたんだが、浸透には時間はしばらくかかりそう。

そこらへんは思考の整理に合わせてまた書きたい。

 

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー別冊 「超」MBAの思考法
ハーバード・ビジネス・レビュー 編集部
ダイヤモンド社 ( 2009-10-02 )

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